Ⅱ.販売について
3のⅡで述べた通り、現在UAブランドのサッカースパイクは非常に限定的な場所でしか販売されておらず、販売されていたとしても目のつきにくい場所で販売されていることが多い。今回ターゲットを都市圏の部活生に絞ったことを踏まえると、都市圏での販売条件だけでもよりよい状況へもっていくことが必要であり、そのためにはUAブランドの強みであるインナーウェア類の販売網の強さを生かすべきだと考える。現在国内でのインナーウェア類のシェアはUAブランドが25%程度とトップシェアを誇っており、販売条件もかなり好条件であることが多い。総合スポーツ小売店業界でトップを争うヒマラヤグループのスポーツデポやアルペングループのスーパースポーツゼビオといった大型店舗でも広く展示、販売スペースがとられており、関東都市部に店舗を構える総合プロスポーツショップB&Dやサッカー用品小売の老舗加茂商事等の小売店でも必ずといって良いほどUAブランドのインナーウェアは販売されている。このインナーウェアの販売網の強さを生かした販売方法を導入していくことが都市部でのサッカースパイクの販売条件の改善が早期に見込まれると考えられる。具体的には、インナーウェア展示用のマネキンにUAのサッカースパイクを着用させることでより好条件の売場を確保させることや、インナーウェア類とサッカースパイクの同時購入で個別に買ったときよりも安く提供するセット価格を打ち出す等、店舗でUAブランドのサッカースパイクを消費者が認知する機会を増やし、購入する機会も増やすといった方法をとることが必要である。
Ⅲ.プロモーションについて
3のⅢで前述した通り、部活生に向けてのプロモーションは順調に進んでいるといえる。しかし、商品のターゲットとなった都市部周辺地域で活動する部活生に対してより効果的なプロモーションを展開する為には現在行われている試履会を中心としたものに追加してインターネット上でのプロモーションに力を入れることも必要だと考える。なぜならば、総務省統計局のデータ(図の24、25)によると部活生年代のインターネット使用率は増加傾向にあり、都市部周辺地域に在住する人間ほどインターネット利用率が高い傾向にあるためである。そのため、インターネット上でのプロモーションが今後はより重要になると考えた。そのインターネット上でのプロモーションであるが、主に公式ホームページや公式SNSアカウントで消費者に購買意欲を高める刺激を与えることが必要になると考える。例えば商品ごとの、今回でいえばサッカースパイクの為の特設ページを作成し、商品の開発秘話やプロスポーツ選手へのインタビュー記事、商品の事細かな機能の説明といった内容を載せるといったことをすることで店舗等の販売場所では収集することの出来ない商品の価値や魅力を伝えて購買を刺激することや、新商品発表日時までSNSアカウント上でカウントダウンをすることで消費者の期待を高め、購買行動を刺激することなどが具体的な方法である。
6. 終わりに
UA社はサッカースパイク事業においては完全に後発の企業であるが、先発の他メーカーの製品にも劣らない性能のものを選手のニーズに忠実に合わせて作っていることが判明した。一方で他メーカーの類似品との差別化がうまくされておらず、また価格や認知度、販売条件といった面でも他メーカーよりも劣っていたため、現在の国内サッカースパイク市場では苦戦しているということが明らかとなった。そのため、製品に関して今後は自社製品をよりニッチかつ確実に需要のあるものへと改善し、他社製品との差別化を図ることが必要なのではないかという結論に達した。また、そのほかの販売面やプロモーション面に関しても製品と同じく購買層を絞り、ピンポイントで狙うことでより効果的に行うことが可能になるという考えに至った。
注釈
※1 発売当初はカスタマイズが売りではなく、従来通りのモデルであった。改善された二作目からtunitの名前が付き、プレーヤー自身でカスタマイズができる一足となっている。2010年に路線変更され、現在はF50 adizeroとして軽量性が特徴のモデルとなっている。
※2 TOTAL90シリーズは2000年代後半には踵のエアによるクッショニングは廃止され、シュート精度やシュートパワーに特化したモデルへ変更されている。2013年度に廃盤となり、代わりに敏捷性に特化したハイパーヴェノムシリーズが追加されている。
※3 当ブログ(0014のblog)とtwitterを使用したインターネット上でのアンケートで調査。母集団はサッカースパイク使用者を仮定。回収率は20%の200件。
※4 ステッチとはサッカースパイクのアッパーを縫製する糸のことで、耐久性向上やレザーの伸びすぎ防止、屈曲性の向上のためにも入れられる
※5 ヒートギアやアーマーベントはUA社独自のベンチレーションシステムである。マイクロGはUA社独自の衝撃吸収、反発力に優れた衝撃緩和剤である。詳細は以下を参照。
http://www.underarmour.co.jp/technology/
※6 アッパー構造は表側から表皮、クッション材、裏地材という三層で構成されていることが一般的で、近年ではクッション材を抜いた二層構造(2レイヤー)や表皮、クッション、裏地を一枚で済ませた単層構造等が出てきている。
出典(画像引用元含む)
hummel公式HP
http://www.ssksports.com/hummel/index.html
mizuno公式HP
adidas公式HP
http://japan.adidas.com/football
日本統計局
http://www.stat.go.jp/data/nihon/02.htm
JFA
http://www.jfa.jp/about_jfa/organization/databox/player.html
矢野経済研究所
http://www.yano.co.jp/market_reports/cat1/pr2.html
0014のblog(自身のブログ)
UA公式HP
ゲキサカ(画像引用)
http://web.gekisaka.jp/photonews/detail/?155481-155481-pn
早稲田大学大学院 教授 間野 義之研究論文
http://www.waseda.jp/prj-risb/archive/110601-1.pdf
日経ビジネスデジタル
http://www.slideshare.net/mobile/koji276/ss-27427402
南中島のセレッソ日記(画像引用)
http://cerezonishinaka.blogspot.jp/2012/10/studium.html
スポーツウェブショッパーズ(画像引用)
http://www.sports-ws.com/item/FS1AS221.html
asics公式HP
NIKE公式HP
http://www.nike.com/jp/ja_jp/
コメント
UA社の企業理念のようなものを強く感じられますね!個人的には、UAのコンプレッションインナーのような通気性、ある程度の伸縮性(足へのフィット)を追求してほしいですね!^o^
UAらしいスパイク作ってほしいです。
ラブさん
UAの強みを活かした商品が出ると嬉しいですよね♪(*^_^*)
今のところはクラッチフィットがそうですが、流石に通気性までは実現出来ていませんし笑
早速、返信ありがとうございます!^o^
クラッチフィット気になってます!!あとは、ウィズが合うかどうかってとこと、アウトソールの出来次第なんですよね(^_^;)
素晴らしい分析ですね!
もっとキックやスピードにフォーカスしたモデルも出してほしいと個人的には思います!
一般消費者が抱いている疑問を、ブランド側は汲み取れないところに、上位ブランドとのギャップを感じますね。
いっそのこと、ブランド側の仕事を志してみてはどうでしょうか。笑
ラブさん
いえいえ!(*´ω`*)
ウィズはとにかく試着ですね!笑
アウトソールは天然芝なら絶対問題ないとは思うんですが…HGでどこまで出来るかは未知数ですね。
フールさん
ありがとうございます!
なかなか難しいとは思いますが、急成長したらあるかもですね!
通りすがりさん
営業の力だったり、直営店舗、取扱店舗数の少なさが繋がっているかもですね。
興味はあります!