本日はアシックスのサッカースパイク、DS LIGHT X-FLY6のレビューになります。
X-FLYシリーズの最新モデルで、更に長く心地いいフィットが続く人工皮革モデルに。
更に良いところを伸ばし、順当なアップデートになっている本作。
それでは、早速レビューしていきます!
詳しい解説 販員様向けはこちらからどうぞ
足型

まず足幅はE~2E程度、つま先周り高さ標準、甲回り高さ標準程度となっています。
基本的には前作を踏襲しており、サイズ感なども同じ位です。
この足型という部分は、大きな仕様変更は無いように感じます。

そして全体的なフィット感として、非常に心地の良い柔らかさを感じます。
特に前足部はシルキーラップ、人工皮革なのですが
そんな感触は全くなく、レザー顔負けのフィット感となっています。

ちなみに細かい仕様変更の甲斐もあって、前作より更にストレスが減っている印象。
この辺りは履いてすぐに感じる、というのは難しいかもですが。
確実に一歩づつ、細かい所が更に良くなっている印象を受けました。
アッパー前足部

まずアッパー前足部にはシルキーラップアッパーが採用されています。
本作は人工皮革ではありますが、レザー以上にレザーなフィット感が特徴。
履いてすぐに馴染む感触や、心地よいソフトさはまさにレザーです。

過去、いくつものメーカーが『カンガルーレザー風人工皮革』を謳ってきましたが。
今回のシルキーラップアッパーはあえて表現するなら、『カンガルーレザーを超えた人工皮革』ともいえるかと思います。
それくらいレザーの特徴を残しつつ、人工皮革の耐久性を持たせているのが強みです。
タッチ感 サッカー

まずタッチ感についてですが、X-FLY6は更にレザー感が強いタッチ感となっています。
既に発売されていたX-FLY PRO3は、レザーにグリップが加わった感触でしたが
本作はソフトさ、柔らかさ、感触が非常にレザーに近い印象を受けます。

一方で、昔ながらのレザーだと表面が滑りやすい感覚があるものもありましたが
そういったレザーによって生まれる不満というものは、引き継がれておらず。
程よいグリップ感がありつつ、レザーのようなソフトさと繊細さが感じられるアッパーです。

この辺りはX-FLY5よりもかなり良い印象で、よりボールをソフトに感じられる印象。
フィット感はもちろん、フィーリングも非常に良い感覚になっています。
中足部

そしてアッパー中足部にも人工皮革が採用。
加えてインサイド面には、グリップ性を高めるプリントが加工されています。
このプリントで、パスの精度を高めるのが特徴。

また、履き心地も前足部同様に心地いい感触。
シュータン部もストレスなく、フィットとホールド性がちょうどいい感触となっています。
トラップ感 サッカー

そして中足部のタッチ、トラップの感触も前足部同様、非常に心地いい感覚です。
ここは前足部よりも少しダイレクト感が強くなりますが
前足部から違和感があるようなことは無く、自然なレザーのスパイクのような感覚です。

また、この中足部、インサイド面にはグリップ加工が採用されているので
よりこの辺りでのボールタッチはグリップがグッと効く感覚がありました。
ただ、どちらかというとタッチより、

インサイド面でのパスのシーンで、これらは更に役立っていた印象。
受ける、止めるといったシーンでも活躍しますが
出すシーンの方がより効果を発揮する感覚を受けます。

このようにレザースパイク顔負けの柔らかさとタッチ感がありつつ
ハイスペックなグリップ感も一部で持ち合わせているX-FLY6。
本作はフィット、コントロールを更に向上させているのを実感できました。
ホールド感 ラグビー

また、鋭い切り返しや踏ん張るのに大切なホールド性もしっかり兼ね備えています。
なんせヒールカウンターの強度とバランスが良いので
アッパー自体は柔らかめなのですが、上手くバランスがとれている印象です。

加えて、本作シルキーラップは伸びにくくへたりにくいのも特徴なので。
そういう意味では、ズレにくい期間が長いというのも嬉しい所でしょう。
この辺りを考えるとやはり、レザーより強みがあるように感じます。

ちなみに全体の強度として、例えばプロのラガーマンが半年履けるほどの強度は無いとは思います。
そもそもサッカースパイクなので。
ただ、多くのケース、中学~大学や一般社会人等では問題ないかと。
もっと強度が欲しい場合はACROS3ですが、個人的にはこのX-FLY6は非常にいい感触でした。
アッパー後足部

そしてアッパー後足部、かかとにはヒールカウンターを採用。
ここは前作同様、しっかりとしたホールド性を感じられる仕様です。
程よく硬く、サポートを受けられる感覚があります。

また、それでいて靴擦れするような感触もなく、心地いいフィット感なのも良いところ。
ズレたりすることも無く、良い感覚でホールドしてくれました。
蹴り心地 サッカー
このキックの感触ですが、ここもまた滅茶苦茶良い感触でした。
実はこの日はTLSSのストライカーを履いてから、X-FLY6を履いてるのですが
正直、雲泥の差があるように感じました…笑

というのも、甲部の程よくダイレクトな感触はもちろん良い感覚なのですが
それ以上にかかと周りの安定性、軸足の安定性が非常に良いです。
これは強すぎないし、柔らかすぎないという絶妙な所で
軸足が安定するから、視線や姿勢がブレにくく、ボールの芯を簡単に捉えられます。
特にロングボールなど、軸足に荷重がかかりやすいキックでは顕著に出てきます。
蹴り心地自体に凄く癖があったり、変わったギミックがある訳でもないので
シンプルに蹴り心地が良く、思ったような感覚で蹴れるというのがストレスレスです。

そういう意味でも、本作は全ポジション対応であるのは前作からですが。
より後ろや中盤、ロングキックやパスを多用する選手だと更に恩恵がありそうです。
前線であればX-FLY PRO3があるので、そちらの方が良いかもですね。
蹴り心地 ラグビー
また、ラグビーボールの蹴り心地に関しても概ね同じ印象で、ボールを捉えやすいです。
とはいえもう少しラグビーだと、走りながら蹴ることが多いので、影響は少なめですが
そうは言っても、感覚的に蹴りやすい印象はあります。

ただ、ギミックとして特別キックパワーが上がるような仕組みは無いので
どちらかというと精度が高まって、その分少し飛距離が伸びやすいかなという印象。
MAXが上がるというより、アベレージが上がって良くなる印象はあります。

他の部分でも優秀ですが、キックに関しても優秀なのがX-FLY6。
この辺りはX-FLY5でも体感できる所ではあると思いますが
6は人工皮革でお手入れが楽になっているので、ラガーマン的には嬉しいかもですね笑
アウトソール

最後にアウトソールには土、人工芝、天然芝に対応したマルチなソールが搭載。
前作同様に安定性がありつつ、素足感覚もある万能ソールです。

この辺りは前作から変わりありません。
そのため変わらず、素足感覚と安定性という、相反しやすい機能をしっかり持たせています。
スピード
このスピード感、疾走感に関しては前作同様、素足感覚がやや強め。
強い反発感は無いですが、足本来の動きをそのまま引き出す感覚です。
この辺りは個人的には非常に良いですが、素材で反発する訳ではないので
例えばエアズーム、カーボンなどに比べると、靴として反発する機能は少なめです。

一方で、本作はアッパーも非常に柔らかく、指先まで伸びて接地できる感覚が良くなっています。
その結果、より安定した加速、スピードの発揮にもつながっている印象です。
また、素足感覚なので自分の動きを邪魔せず、自然にガイドしてくれるのも非常に良いところ。

瞬発的な縦への加速はX-FLY PRO3の方が良いと感じる人もいると思いますが
とはいえX-FLY6が劣っている感覚は無く、むしろスムーズさや安定感はこちらが上です。
そういう意味でも、スピードを重視するプレーヤーでも満足できる仕上がりになっています。
ステップ

このステップ、アジリティに関しても上々で、クイックな動きを生み出しやすい感覚があります。
特にストップ動作はしっかりとグリップが効きつつ、無理のない感触なのが非常に良いところ。
だいたいグリップが強いと無理なストップ感が出るのですが
X-FLY6のソールはその辺り、うまくコントロールされています。

また、程よく素足のように気持ちよく捻じれつつ、円柱ベースのグリップが丁度いい感触は継続。
動きやすく、安全で、思ったように止まる、切り返せるスパイクとなっています。
やはりアシックス、設計思想的にもアシックスが一番だと感じさせられます。

他のメーカー、例えばナイキやアディダスも同じくらい滅茶苦茶良いスパイクを出しているのですが
こういう日本人、日本の環境で、しかも基本がしっかりできているスパイクは意外となかなか無いです。
ミズノとかも違う感じなので、この辺はやっぱり流石アシックスという感じですね。
まとめ

主に上記の3点に優れたスパイクで、前作を更に超えてきたのが驚きです。
正直、完成されていた上、スペック上は違いと言えばアッパー素材位なのですが
履いてみればわかる、足指まで使いやすい、非常に良い一足となっていました。

このシルキーラップは確実に、サッカースパイクの転換点になりそうな素材だと感じます。
カンガルーレザー廃止というのがそもそもの契機かとは思いますが
しっかりレザーを超えたものを出してくるのが凄いですね。
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