UAサッカースパイクの今後の展望3

アンダーアーマー 新情報

3UAブランドの現状

.商品の現状

UAブランドでは現在日本市場に向けて発売されているフリーリー2KJHGに海外市場で主に発売されているclutch fitblur carbon Ⅳという3モデルが展開されているが、今回は特にフリーリー2KJHGを中心に商品の現状を分析する。1フリーリー2KJHGは定価16275円のトップモデルであり、フィッティングと軽量性に優れた学生からプロまで使用できるモデルである。アッパー前足部には足馴染みに優れたカンガルーレザーにボールコントロールを高めるラバーを加工し、中足部インサイド側にもボールコントロールを高めるラバーパネルを搭載。アッパーの内張りには起毛素材を採用することでより柔らかな足当たりを実現し、アウトソールにはセプトン樹脂を加工した反発性、軽量性に優れる土、天然芝、人工芝に対応したものを使用。シュータン上部や後足部アウトサイド側にUAブランドロゴを配し、シンプルなデザインを採用したUAブランド国内で唯一のサッカースパイクである。このモデルをUAが部活生を対象に独自で調査した結果、右図13のような結果が出ている。22のⅢで検証した、部活生にとってスパイクを選ぶときに重要な要素であるアッパーのフィット感は94%の選手が満足し、それに加えて軽量性や動きやすさといった要素でもそれぞれ81%、90%と多くの選手が満足していることがわかる。部活生がよくプレーする土グラウンド、人工芝グラウンドに対応し、アッパーのフィット感もよく、軽量性もあり、実売価格は12000円程度となっているこのモデルは一見素晴らしいものに見えるが、競合他社との類似商品と比べると至って平凡なモデルとなってしまう。34特にネックとなるのは価格であり、前述した独自のアンケート調査(3)から出たデータとして、学生が練習用に頻繁に買い替えるサッカースパイクにはせいぜい10000円程度、買い替えの少ない試合用のサッカースパイクには10000円~20000円程度までなら出してもよいと考えることがわかっている。その価格という点を考えると、フリーリー2KJHGは他社製品と比べるとだいぶ劣る。例えばNIKE社から発売されていたティエンポスーパーリゲラ3HG-E AFであればほぼ同等の性能をおおよそ7000円~8000円で多彩なカラーの中から好みのものを購入することが可能であるし、ADIDAS社のパティーク11PRO TRX HGであっても多少の差異はあるものの、やはりフリーリー2KJHGよりも安い値段で多様なカラーの中から選ぶことが可能である。PUMA社でもパラメヒコライト13 HGJPやパラメヒコライト13 HGSPを上記二社と同じような条件で購入することが可能であるし、MIZUNO社のエストレーラNEO2や、ASICS社のDSライト、X-FLYといった商品もカラーは少ないものの、フリーリー2KJHGよりもより高品質な上低価格で購入することが可能である。フリーリー2KJHGはシューズコンセプトとしては正統なスパイクではあったが、国内市場を占めている上位五社の製品と被る部分も多く、さらに価格でも負けてしまっていたため現状は厳しいと評価せざるをえなくなっている。

.販売の現状

現在フリーリー2KJHGUAの数少ない直営店舗やスーパースポーツゼビオといった大型スポーツ用品店、楽天などのインターネット上での販売が主となっている。店舗での販売は小さな小売店までカバーするには至らず、ある程度の都市部に住んでいる選手でないと購入することは難しい状況である。仮に都市部に住んでいる選手であったとしても、フリーリー2KJHGがディスプレイされているのはNIKEADIDASMIZUNOPUMAASICSといったメーカーの商品よりも目につきにくい場所にあるため、気づかれないということも多い。一方、インターネット上の販売では購入しづらいというデメリットを解消することが可能であるが、フリーリー2KJHGの長所であるアッパーのフィット感や軽量性は実物を試着してみないとわからない部分が大半である。インターネットでの販売は長所を生かせず、デザインやカラー、多機能性で他社製品と競合することとなるため、かなり分が悪いといえる。これらのことから、フリーリー2KJHGは上位五社と比べると販売方法により工夫が必要であると思われる。

,プロモーション戦略の現状

現在UAブランドはフリーリー2KJHGを中学生、高校生を中心とした部活生に向けて試履きする機会を設けることで部活生間の商品知名度や商品の良さを広めようとしており、それは一定の効果が出ているように感じる。5今冬の高校サッカー選手権でも今まで見ることのなかったUAブランドのスパイクが幾人も躍動し、決勝の前橋育英高校の渡邊選手といった大会屈指の実力者も着用するようになっている。さらに、前述同様独自にアンケート調査(3)を行ったところUAブランドにいいイメージを持つと答えた回答者は全体の52%であったのに対し、部活生のみに回答を絞るとこれが65%にまで上昇した。UAのプロモーション戦略が功を奏している結果であるといえるだろう。ただ、一方で国内シェア上位四社がとるような有名な選手を広告塔に据えるといった戦略はとっておらず、それがフリーリー2KJHGの知名度向上、UAのサッカーブランドとしての知名度向上の足を引っ張っているように感じられる。




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