本日はTLSSのフィッティングを重視したサッカースパイク
タクティシャンライト MGのレビューになります
本作はカンガルーレザーアッパーを使用した、軽量スパイク。
※アフィリエイト広告を含みます
他にもKarvoやT-FLASH FORMといった、特徴的な機能が備わっている本作。
それでは早速レビューしていきます。
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足型

まず足幅に関しては足幅E程度、つま先周り高さやや高め、甲回り高さ標準程度となっています。
やや細身かつ、つま先は高さのある設計です。
ちなみに0014は今回、いつも通りの25.5㎝をチョイス。

サイズ感としては、個人的にはいつも通りの25.5cmで特に問題なかった印象。
ただ、小さめということは決してない感触です。
どちらかというと大きめに感じやすい設計なのですが、基本いつも通りのサイズで良いと思います。

また、全体的なフィット感としては前がややしっかり、後ろがかなり柔らかい履き心地という印象。
この辺は本来逆であるべきなので、正直滅茶苦茶良いかと言われると…。
とりあえず初めてのスパイクにしては、フィット感はまずまずという印象です。
アッパー前足部

まずアッパー前足部にはカンガルーレザーを採用。
このレザーに加えて、つま先には剥がれ防止の加工が施されています。

このレザー部分自体は、普通にレザーの感触なのですが
ただ、つま先の加工がやや硬めに感じやすい仕上がりです。
代わりにつま先の高さがしっかりでているので、それで履き心地に問題は無くなっている印象です。
タッチ感 サッカー

この前足部のタッチ感に関しては、レザーのスパイクらしいソフトさが感じられます。
流石につま先のコーティング部分は、硬い感触ではあるのですが
とはいえレザーむき出しの部分は、いわゆるカンガルーレザーな感触です。

ただ、どうしてもコスパ的な所を考えると…
このタクティシャンライトは28600円という価格になるんですが。
例えば近い製品でモレリアネオⅣであったり、レザー風のX-FLY6があったりするわけです。
そこと比べてレザーの質が同等、もしくは良いかと言われると難しいところ。
イメージでいうと、エストレーラNEO2よりもうちょっと肉厚ソフトな感触です。

つまり、価格や時期を考えなければ普通のカンガルーレザーのタッチ感ともいえるのですが。
2025年に出ている28000円位のスパイクだと考えると、もう少し薄いか柔らかいかすると、嬉しかった印象。
ただ、ミドルモデルっぽいタクティシャンライト PRO 2Eは16000円位で販売されているので。
もし同じくらいの質感であれば、タクティシャンライト PROの方が良さそうです。
中足部

そしてアッパー中足部には人工皮革を採用。
この人工皮革はレザー部分とそん色ない、柔らかく程よく薄いアッパーとなっています。
この辺りは割と良い印象。

また、内側面はロゴもなく、自然とフィットする感覚。
この内外のフィット感は良い印象です。
外側のロゴも柔らかいので、違和感なくサポートする感覚。

ただ、シュータンとシューレースは改善の余地がある印象。
特にシューレースは柔らかい綿なので、違うものに変えた方が良いとは思います。
また、シュータン自体も悪くはないのですが、もう少し良い形状がある印象です。
トラップ感 サッカー

そして中足部のタッチ感は、前足部より良い感触を受けます。
特にインサイド面はフラットかつ、クッションが無い仕様なので
シンプルにボールを感じ取れるのが嬉しい仕様です。

また、ステッチも多く配置されており、ボールが滑るような感触も少なくなっています。
加えて、人工皮革はレザー部分と同じように柔らかいので
この中足部は素足感覚、ボールをダイレクトに感じやすい仕様となっています。

このシンプルながら、無駄のない所が良い感覚を生み出している印象。
ここは結構良い印象を受けました。
ホールド感 ラグビー

そして、鋭い切り返しや踏ん張るのに大切なホールド性ですが。
嘘ついても仕方ないので書きますが、ここがかなり残念な所です。
というのもソールの安定性が無さ過ぎて、止まる動き全てに悪影響を与えています。

これがヒールカップが柔らかいだけなら、全然なんとかなります。
かかとに衝撃吸収材が入っても、人によっては問題ないはずです。
ただ、ここにソールの安定性が無いのが加わるとなると、かなり壊滅的。

この安定性の無さが、結局キック精度や切り返しに影響を与えてしまうので。
これは確実に改善しないとどうしようもないポイントかなと思います。
あえて救いの手を差し伸べるなら、朝方とはいえ夏場の人工芝で使用したらという状況なので
もしかしたら寒冷地であったり、夏場でなければ問題は軽微になるかもしれません。
アッパー後足部

アッパー後足部、かかとにはヒールカップが採用。
加えてソールから巻き上げたヒールカウンターもありますが…
強度的にはかなり低い印象で、サポートよりフィット性を重視している印象です。

また、柔らかくて緩いというのが一番表現としては適切かと思います。
これだと靴擦れこそしにくいですが、ホールド性も高くない感触です。
蹴り心地 サッカー

そしてサッカーボールの蹴り心地については、シンプルな感触。
良く言えばシンプル、悪く言えば特徴がそこまで無い印象です。
とはいえ、普通に問題なく蹴れる感覚ではあります。

そして、T-FLASH FORMのクッション性はかなり効果を発揮しています。
衝撃自体を緩和してくれる印象で、これ自体はなかなか良いんじゃないかなと。
軸足から受ける衝撃を、柔らかく緩和してくれる感覚は好印象です。

ただ、諸々で軸足の安定性を奪っているので、キックは感覚的にズレる印象。
あえて表現するなら、地面に少し沈む感触、といえばいいでしょうか。
顕著ではないのですが、わずかにグニっと沈む感覚があり、そこで蹴る際にズレが生まれる印象です。
蹴り心地 ラグビー

また、ラグビーボールの蹴り心地に関しても同様で、感覚のズレが出る印象。
これは慣れればいけるんでしょうが…という感じです。
サッカーボールよりも踏ん張らずに蹴れるのもあるのですが、それでも影響はある印象。

ただ、サッカーよりは繊細さというより、飛距離の方が大事だったりするので。
そういう面では、芯で当たれば大きな問題にはならなかった印象です。
この芯で当てる、というのに慣れがいるという話ではありますが…

この不安定性は結構やっかいで、普通に蹴っていたら気づかないかもしれません。
細かく確認していって、ようやく感じられる程度のズレ感になるかと。
とはいえ、優先して選ぶ必要性は薄いのかなと感じます。
アウトソール

そしてアウトソールには、人工芝メインで使用できるMGソールを採用。
多数円柱スタッドを採用した、負荷を軽減するソールが搭載されています。

このソールは前足部内部にKarvoと呼ばれる高反発素材を配置。
加えて、かかと中心にT-FLASH FORMと呼ばれる高反発衝撃吸収材も使用しています。
このクッションと反発を持たせながら、程よいグリップに仕上げているのが本作です。
スピード

このスピードに関してですが、ここは良いと思います。
ちょっと難しいレビューが続いてましたが、シンプルにKarvoの反発性が心地いいです。
加えて、スタッドも人工芝でしっかりグリップしつつ、抜け感も良いのが〇。

このスタッドの感触は、無理に引っ掛かる感じで無いのも良いところ。
程よく、気持ちよく抜けてくれるので、滑らかな加速が可能です。
流石に人工芝用ソールだけあって、負担が少ないのが嬉しいところ。

ただ、スピードが出ても止まれないとパフォーマンスとしては厳しいので。
本作の課題である止まる、安定性が確保されれば化けそうな印象です。
ステップ

このステップ、切り返しに関してはもう言わずもがなですが。
やはりかかと周りの安定性が足らないので、かなり不安定です。
ただ、前述した通りT-FLASH FORMはいい仕事をしていて、衝撃は緩和できている感覚があります。

特にこういった、急に止まるような動作はかなりレベルの高い印象。
個人的にはいけますが、感覚のズレ、ブレ感は若干あります。
普段ある程度難しいスパイクは『ハイレベルな選手向け』とか書いたりするのですが
これは普通に難しいスパイクだと思います。

ちなみにソールのグリップ自体はしっかり効くので、そこは問題ない感覚。
滑りもせず、過度に引っ掛かったりもしません。
なので、もう少しのバランス改善で良くなりそうという印象を受けました。
まとめ

今回はTLSSのサッカースパイク、タクティシャンライトを実際に履いてレビューしました。
普段レビューするときは、そのスパイクの良いところをなるべく取り上げるのですが。
ここまでバランスが崩壊していると、嘘もかけない、書きたくないのでちょっと酷評気味になりました。

ただ、良いところを書くなら、あとちょっとのバランスでかなり良くなる印象はあります。
具体的には後足部の安定性と、前足部の柔軟性、シューレースやシュータン周りでしょうか。
その辺りが改善されれば、普通に良い候補として挙がってくると思います。

実際今回評価するのはかなり難しく…
初めてのサッカースパイクと考えれば、それなりですし。
28600円のスパイクと考えれば、他に良すぎるものが沢山ある、確実にNOでしょう。
現時点の結論としては、現段階では問題アリですが、今後がかなり楽しみなメーカーとなりそうです。
余談

ちなみになんですが、今回の問題は後足部の安定性の欠如になるので
ではそれをインソールで補おうということで、Stepcraftインソールで再度プレー、試してみました。
Stepcraftを選んだ理由は、後足部がスーパーフィート系でかなりハード、強度があるからです。

そうするとものの見事に先程までの問題が改善。
なんなら気温が上がって30°を超えても、後足部の安定性が保たれていました。
という訳でタクティシャンライト、どうしても履きたい人はインソールも入れると良いです笑

余談の余談ですが、全体のホールド性を上げるために糸伍の伊賀組紐も使用しています。
こんな感じで手を加えてあげれば、個人的にはモナルシーダ位の感じでは履けるなと。
ただ、硬いインソールを入れるとT-FLASH FORMの良さは薄れるので
その辺はトレードオフになりますね笑
コメント
いつも楽しく読ませてもらっています。質問で自分は足首やカカトのホールド感を重視してるのですがおすすめのスパイクはありますか?
>>1
かかとの内側は多少滑りにくく、履き口回り~かかと回りにある程度の硬さのあるものは比較的候補に挙がりやすいかと思います